2012年6月3日日曜日

ひでさんのRQW同行記

はじめましてHideです。

仙台出身で、現在はスキー場で有名な北海道のニセコエリアに住んでいます。今回は地元仙台に長期滞在している間、RQWの足立さんの活動に一日同行する機会をいただきましたので、RQW活動内容の記録とともに、僭越ながら、被災地の現状を知らなかった私が被災地で感じたことをお伝えさせていただきたいと思います。


5月14日(月) 6:50 AM

仙台駅東口にて落ち合いました。足立さんの車に同乗させていただき、一路、南三陸町へGo。車中では私のミッション(記録係)と当日のスケジュールを教えてもらいました。



(Hideの独り言)なれない地名や組織名、人名などの情報についていけず、途中でペンとメモ帳を買ってから改めて教えてもらうことにしました。事前に用意すべきですね(汗)


08:20 AM (石巻市 上品(じょうぼん)の郷)

私のために道の駅に立寄ってくれました。私はメモ帳とペン、そして足立さんお勧めの手作りおにぎりを購入。その間にも足立さんは当日使用する資料(編み図)の最終確認と抜け目がありません。



09:25 AM 南三陸町 高橋様自宅兼丸七水産加工場 到着

南三陸町の旧歌津町エリアにある寄木(よりき)地区で丸七水産を営む高橋様宅を訪問しました。震災後、津波により営業停止に追い込まれましたが、同じ場所に水産加工場を再建。また高台に仮設のご自宅を建て営業を再開させました。せっかくの訪問ですが、先の予定があるので近況報告もそこそこに、息子さんのヒデキさんとの次の企画の大まかな日程を確認し、明るい笑顔に見送られながらその場を去りました。





(Hideの独り言)
到着するや否や冗談を言い合う様子から、高橋家との親交の深さがすぐにわかりました。奥様の和子さんによると、足立さんの紹介で、椎名誠さんの奥様の渡辺一枝さんが最近寄木を訪問したらしいです。そうとは知らず、和子さんがご自宅で昼食をご馳走したというお話を楽しく聞かせていただきました。渡辺一枝さんは信州の出版社に不定期に寄稿しているようで、今回の寄木の訪問の様子も「一枝通信」の中に記されていました。



0950AM 南三陸町 寄木地区仮設住宅 到着

高橋様宅と同じ地区で、1.5Kmほど内陸の高台に建築された仮設住宅に立ち寄りました。
こちらにはエコたわしの材料となる毛糸の補充で、大きな三つの袋に山ほど入った毛糸をおいてゆき、代わりに完成したエコたわしを引き取り、颯爽と次の現場に向かいました。その間、ものの数分、私は建物の外で待機してましたが、足立さんによると、その短い時間の間に新製品のアイデアが煮詰まったとのことで、スピード感ある企画推進力に驚かされました。

Hideの独り言)
仮設住宅の前面に渡り廊下が設けられており、日用品の仮置き場として活用されていました。

駐車場の前には仮設住宅のコミュニティー通信がパウチ加工で掲示されていて、コミュニケーションにおいても工夫を凝らしている様子がはっきりとわかった。







1008 AM 南三陸町 ファミリーマート志津川清水浜店 到着

エコたわしの編み図を参加者配布用にコピーをとり、すぐに出発。

1025 AM 南三陸町 中瀬地区応急仮設住宅 到着

第二&第四月曜日はRQW主催の『かんたん手作り&お茶っこ会』が開催されます。本日は第二月曜日で、エコたわし製作の日。到着するとすでに参加者のお母さん達が10名ほど大きな卓を囲んで待っていました。この一ヶ月間で生産したエコたわしは200以上。足立さんから皆さんへのねぎらいの言葉、またお客様の評判が上々であることを伝え、さっそく制作活動開始。今日は新作の「ひらめ」、コピーした編み図を皆さんに配布して、早速編み方の指導をしていました。





指導とは言っても、先頭に立って一方的に教えるようなスタンスではなく、編み物が得意な先輩方のご意見を積極的に取り込んだり、苦手な方にはマンツーマンで教えるスタンス。苦労を惜しまないそのスタンスのおかげでグループ内に上下関係がなく、和気あいあいとしたムードで活発に会話を交わし、自然とお母さん同士でも教えあいが始まりました。


1200PM みんな編み物に盛り上がっている最中ですが、次の予定があるので閉会に向けて今後の活動に関する説明。今後も無理せずに編み物を続けて欲しいとのお願い、今後は材料の毛糸がメーカーから直送されること、また水揚げ(完成品の回収)と材料の在庫管理は登米市のコンテナおおあみさんが請け負い、今後担当するマネージャーと、かわいらしくも頼もしい女性スタッフ2名を紹介し、次の現場に向かった。


Hideの独り言)
誰かが上に立つのではなく、仲間の中で、できる人ができない人を助ける雰囲気が自然に発生する様子は魔法のようでした。仮設住宅の参加者が主体的に活動していて、この活動はすでにこの地にしっかりと根を下ろしつつあるんですね。新しい仕事を地域に定着させためには、地域のかたがたの「ヤルキスイッチ」がどれだけ大事か勉強させてもらいました。


1243 登米市米山地区 かのファーム到着

登米市で畜産農家を生業とするかのファームにお邪魔しました。経営者の鹿野夫妻は足立さんと仙台市内でコミュニティカフェ「うれしや」を517日から共同経営する予定で、その準備も最終段階。料理は奥様の鹿野昭子さんが担当。今回はケークサレとキッシュの味付けや、料理の盛り付け方などを確認していました。(写真 IMG_0640IMG_0643



Hideの独り言)
お店に設置するオーディオ機器を引き取ったはいいが「配線はどうしよう。。。。あ!ここにいた!」と私を指差すお茶目な足立さん。はい、電気メーカにいたのでオーディオの配線なんて朝飯前です。まさか計算づく?いや、たまたまだよね。ラッキーですね、足立さん。(笑)




1354 登米市南方地区 「さざほざ」アトリエ到着

広場の隅にかわいらしいイラストが施されたプレハブを発見!すぐにそこが「さざほざ」アトリエだとわかりました。中に入ると既に近所の仮設住宅から集まった女性陣とコンテナおおあみのスタッフが作業していました。みんな手馴れた様子で和気あいあいと編み物をしていて、足立さんは一通り様子を伺うと、自ら製作作業に参戦。手を動かしながらも近況を確認したり、お客さんの評判を伝えることは忘れません。



途中、なんどか人の出入りがあった中、突然白衣の天使が登場!!近所に住む薬剤師の松浦さんで、編み物が得意のでさざほざに自主的に参加するようになったとのこと。立体的に余れたかわいいブドウなど新作の案として数作品をお披露目してくれました。ちなみにひらめ編み図は足立さんの作品を解読して松浦さんが絵に起こしたとのこと。ものすごい技術力に驚きます。


ひとしきり作業が終わり、あとは完成品の水揚げ。床に並べられた作品のかわいらしさと、色使いのカラフルさに男子でも「わぁすごい」と声を上げてしまうほどです。デザインもさながら、皆さんの愛情が編みこまれているからこその魅力なのでしょうね。今日はわかめとメカブのセットで「ワカメカブ」、「マンボウ」、「イカ」が大量に水揚げされました。足立さんから出荷先と数量を指示され、コンテナおおあみのフミエさんとリョウコさんが手際よく発送準備と帳簿処理を済ませます。すばらしいチームワークでついつい見とれてしまいました。優秀な人材に恵まれています。



16:10 登米市南方地区 コンテナおおあみ到着

「さざほざ」アトリエから車で1分程度の近い場所にコンテナおおあみがあります。建物の中は貸しオフィス、貸し会議室、スタッフオフィスがあり、地域での起業化を支援する体制が整っています。今回は細かい事務作業で立ち寄る目的でしたが、短い滞在時間にもかかわらず社内を紹介してくれました。





Hideの独り言)
地元、大網商工振興会の地域活性化事業部として発足したコンテナおおあみは、貸しオフィスや専門家の紹介などで地域の起業家を支援しながらも、自ら新しいビジネスを創出しようと励む、活力に満ちたムードを感じる組織でした。地域活性化で若者に期待する地方が多い中、地元がここまで積極的に支援してくれるなら、アイデア豊かな若者も不安なく起業を考えられると思います。婚活支援的な企画も推進しているのは若者の悩みをよく理解していますね(笑)



16:30 登米市南方地区 探偵ハウス到着


名前の由来は秘密です(笑) RQWのスタッフは各自自己管理で活動しています。必要な情報はメールやSNSで交信されていますが、細かい状況まで把握できないので、このような定期ミーティングで互いの近況を伝えているようです。ひとしきり現在の事業について話し合った後、連絡事項の共有を行い、次の場所に移動しました。

20:00 東松島市小野地区 小野駅前応急仮設住宅 到着

仮設住宅の群集の中、ひときわ明るく灯りが漏れる集会所に入ってみると、自治会長の武田さんをはじめとする4名の方々がテレビを見ながら談笑していました。食事している方、お酒を酌み交わす方々、そして靴下でぬいぐるみを製作している方がいらっしゃいました。

この靴下人形は地名にちなんで「おのくん」と呼ばれていて、仮設住宅のかたがたが空いた時間で製作し、販売活動をしているとのこと。壁には「おのくん」がずらーーーっと勢ぞろいしていて、小さい「おのくん」は子供用靴下を使用したもの。足立さんは、新規オープンする店舗で販売するために15体の「おのくん」を仕入れていきました。





Hideの独り言)
私事ですが、昼飯を軽く済ませたあまり、小野の仮設住宅についたころにはかなりおなかがすいていました。目の前の料理に気を奪われて、小野の皆様への挨拶がおろそかだったのは本当に申し訳なく思っています。武田さんが作ってくれた晩御飯がまたおいしくて、獣のようにがっついてしまったのは、大人として情けないったらありません。被災者の方にお世話になってしまったので、このご恩は何かしらの形できちんとお返ししたいと思います。
隣にいたのは岐阜からお越しのカメラマン、大西さんでした。大西さんは東松島を中心として被災地を取材し、被災者の体験談を記事にして岐阜新聞に連載している方です。相当な信頼関係がないとあかすことが出来ない辛い体験を聞くことが出来た大西さんは、仮設住宅のみなさんの輪に完全になじんでいましたが、ひと時たりとも正座を崩さない礼儀正しい方で見習うことがとても多かったです。

22:30くらい 仙台市若林区 「うれしや」到着

とうとう最後の目的地に到着しました。ここが三日後にオープンする足立さんのお店です。荷物を降ろして、早速オーディオの設置をしましたが既存のスピーカーとの相性が悪く、手間取ってしまいました。その間、足立さんは料理の下ごしらえ。1時間かかってやっと設置完了し、やっと本日のお勤めは終了となりました。仙台駅で落ち合ってから17時間。本当にご苦労様でした。




【感想】
まず、今回、一日中活動に同行させてくださった足立さんに心から感謝します。寝不足にもかかわらず、私を一日中あちこちにつれてまわって相当疲れたと思います。長時間で過密なスケジュールも、もしかして私にいろいろ見せようと配慮してくれたのかもしれません。最後はオーディオの配線で逆につき合わせてしまったのは申し訳なかったです。
また訪問した先々でお世話になった方々にも、心から感謝します。皆様との出会いを無駄にせず、今後もお付き合いさせていただきたいと思います。

今回のきっかけは、「仙台出身なのに被災地の現状を知らない」という私に、足立さんが「じゃ、一日同行する?」と応じてくれたところから始まりました。

私が住むニセコでは外国人から震災について質問されることが多いです。ニセコは周辺に原発があるため原発稼動への問題意識は強いものの、なぜか津波被災地の実情に関する情報は乏しく、多くのニセコの住民は報道情報を伝聞調で伝えることしか出来ません。私自身、仙台の家族からも被災地の実情を知ることができず、非常に情けないと思っていました。

今回足立さんの活動に一日同行して、仮設住宅に住む方々の暮らしぶりとボランティア活動を僅かながらも垣間見させていただきました。また移動中の車中でもいろいろとお話を聞かせていただきましたので、今後は外国人から被災地の現状を聞かれてもひるむことはありません。むしろ小一時間ほどトクトクと説いてあげたいと思うほどです(笑)

一番勉強になったのは、仮設住宅に住む方々との接し方です。いままでは「被災者との接し方」と、失礼にも「被災者」とひとくくりにしていたところがありました。人それぞれに応じた接し方が必要なのはコミュニケーションの基本。逆に言うとそれでいいのだと実感できました。ただ、ひとつ注意しないといけないのは寄り添うコミュニケーションを保つこと。共感しつづける大事さを言葉だけでなく、身をもって教えてくださった足立さんの対応は忘れられません。自分もこうありたい、そう思わせていただきました。

今回の同行で、被災地の方々が苦しい現状に耐えながらも誇り高く生きている姿を拝見して、自分もしっかりしないといけないと身が引き締まる思いになりました。世界中の人々に、被災地で頑張っている方々の様子を知ってもらいたい。これからは皆様の頑張りを頭に浮かべながら、自分が為すべきことを一つ一つこなしてゆき、共に復興に向けて頑張ってゆきたいと思います。

ありがとうございました。

Hide
(竹樋秀康;たけひひでやす)


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